Search

食品・飲料の配合における4つの主要な課題

食品や飲料は、化学的・物理的な要因によってどうしても不安定になりやすく、さまざまな相互に関係する要素が組み合わさることで、エマルション、懸濁液、泡といった構造の長期的な熱力学的挙動が変化してしまいます。その結果、製品の保管期限や食感、口当たり、さらには風味にまで大きな影響を及ぼす可能性があります。

したがって、食品や飲料に使われるコロイド系の分散安定性を高めることは、製品の品質を長期間維持し、消費者に対して最良の印象を与えるために非常に重要です。

食品や飲料の分散安定性における根本的な課題は、コロイドの不安定化メカニズムが非常に複雑であることにあります。分散系に含まれる原材料の相互作用、保存環境や条件、さらには適用方法や供給形態によって、複数の不安定化現象がコロイドの分散安定性に影響を及ぼす可能性があります。

本記事では、食品および飲料の分散安定性に関する主要な課題について、より詳しく解説します。

粒子径測定 - 製品総合カタログ


Microtracでは、レーザ回折、DLS、画像解析など多様な粒子径測定技術を用いた製品を提供しています。

1. 飲料におけるリング形成

濃縮飲料に影響を及ぼす一般的な劣化プロセスとして、「リング形成」があります。これはクリーミングの一種で、分散液のメニスカス(液面の湾曲部)で発生します。表面張力によって、液体の濃縮相が容器の内側に付着し、リング状の跡を形成する現象です。

この現象は、肉眼で確認できるようになるまでに最大で6か月かかることがあります。しかし、高品質な製品と効率的な製造プロセスを維持するためには、製品をより短い期間でテストする必要があります。

臭素化植物油(BVO)のような比重調整剤は、分散した油滴と水性相との間の密度差の影響を抑え、コロイドの分散安定性を向上させるためによく使用されます。しかし、BVOやその他の従来の比重調整剤は健康に良くないと考えられています。そのため、飲料の分散安定性試験では、BVOのような成分に代わる新しい原料の使用に対する関心が高まっています。

2. 乳製品におけるクリーミングと凝集

クリーミングは、さまざまな材料特性や機械的影響によって左右される、非常に複雑な不安定化メカニズムです。これは、さまざまな乳製品の保存期間に関わる重要な現象であり、その速度や深刻度は、脂肪分の含有量、水性相中の脂肪球の均一性、カルシウム(Ca)などの追加ミネラル、あるいは細菌やタンパク質といった添加物の有無によって異なります。 製品の種類によっては、分散安定性の試験がより困難になることもあります。脂肪や糖分を含まない乳製品は、一般的な製品とは大きく異なる不安定化の速度やメカニズムを示す可能性があります。

同じ条件下でも、ホモジナイズされた乳製品と非ホモジナイズ乳製品では、クリーミングの進行速度が異なります。特に、全脂肪乳や低脂肪の非ホモジナイズ乳では、より速く、かつ厚みのあるクリーミング層が形成されやすい傾向があります。

乳製品は、このような複雑な不安定化現象を特徴としています。ヨーグルトは、ミルク中のタンパク質がゲル化することで形成されます。これは凝集の一種であり、いくつかの異なる速度領域(凝固、細菌の増殖、ゼラチン状ネットワークの形成)によって特徴づけられます。

3. 食品粉末の再構成

乳製品業界はこれまで、コロイドの不安定性という問題を回避するために、ミルク製品を脱水して粉末状にし、必要に応じて再水和できる形で提供してきました。これは理想的な方法であり、粉末はコスト効率が高く、省スペースで、環境に配慮した取り組みにも貢献します。しかし、脱水処理は分散安定性の観点から新たな課題を多数引き起こします。再構成された製品の特性を評価し、それが元の状態とどれほど類似しているかを確認することが重要です。再水和されたミルクパウダーの全体的な分散安定性にばらつきがある場合、それは製品の品質が比較的低いか、再水和プロセスが最適でない可能性を示唆しています。

食品粉末の分散安定性は、しばしばその溶解速度によって評価されます。これは、濡れ性(wettability)、沈降性(sinkability)、分散性(dispersibility)といったパラメータによって決まります。液体中での再構成を目的とした乾燥粉末の品質を評価するには、粉末層が水中にどれだけうまく浸透するか(濡れ性)、液体の表面張力をどれだけ早く克服して沈むことができるか(沈降性)、そして沈殿層が液体中でどれだけ速く溶解するか(分散性)についての十分な理解が求められます。

4. 植物性タンパク質の乳化特性

市場の課題もまた、食品および飲料の分散安定性に対する大きな障害となります。というのも、必要不可欠な原材料の入手可能性やコストが、最終製品から得られる投資収益率(ROI)に大きな影響を与える可能性があるからです。特に乳化タンパク質の入手は大きな課題であり、これらの重要な原材料は市場の変動性や供給の不安定さに大きく左右されます。

研究者たちはこの問題を克服するために、エンドウ豆や大豆抽出物などの植物性タンパク質が持つ乳化特性の可能性を評価しようとしています。動物性タンパク質の使用を排除することは、現在では商業的・倫理的・環境的に重要な課題となっています。植物性タンパク質は現在、明確な価値がほとんどない廃棄物として扱われていますが、この廃棄物を乳化に活用することは、動物性製品への依存をなくし、環境的に重要なヴィーガニズムの流れに沿うという点で、地球にとって大きな利益となるでしょう。

これには、試料コロイドの全体的な分散安定性および分散安定性の速度論に加えて、タンパク質濃度や液滴サイズに関する確かな理解が求められます。

5. TURBISCANを用いた食品および飲料の分散安定性試験

TURBISCANシリーズは、食品および飲料市場の複雑さを考慮して設計された高度な測定機器群を備え、分散系の安定性評価を専門としています。TURBISCANシリーズに搭載された静的多重光散乱(SMLS)技術は、目視評価と比較して大幅に迅速な評価を可能にすると同時に、あらゆる物理的不安定化メカニズムを確実に検出・定量化することが可能です。他の試験手法のように希釈を行う必要がないため、製品の保存期間 (Shelf-Life)を正確に予測することが可能です。

TURBISCANシリーズはすでに、食品における植物性タンパク質の乳化剤としての有効性の評価、食品粉末を液体中で再構成するための評価手法の開発など、さまざまな用途に活用されています。

TURBISCAN製品による分散安定性評価についてご不明な点がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

無料相談のお問い合わせ

粉粒体物性評価 - お問合せ

最終的に、シンプルなふるい振とう機を使用するか、レーザー回折・散乱式測定装置や動的画像解析式装置に投資するかの選択は、試験の量、利用可能な予算や人員、そして準拠すべき国際規格や顧客要件によって決まります。

どのソリューションが必要な成果と投資対効果(ROI)をもたらすかを知るために、MICROTRACに無料相談をお申し込みください。