触媒分析装置 BELCAT II

固体触媒の性能は、その表面特性に大きく左右されます。活性点の数や分布、酸・塩基強度、酸化還元挙動、電子構造、表面構造などが、触媒の活性・選択性・安定性を左右する重要な要素です。

固体酸・塩基触媒では、その酸・塩基点の強度および数が触媒活性を左右します。貴金属担持触媒においては、担持金属の金属分散度、金属表面積、平均粒子径がその性能やコストと密接に関係しています。

また、吸着材では、ガスあるいは蒸気の吸着量がその性能を示す重要な指標です。特に水蒸気存在下における吸着性能は、実用条件下における性能を示す重要な指標であり、多成分の破過曲線測定による吸着量や分離性能評価が重要となります。

さらに、触媒反応や吸着はその材料表面で起こるため、BET比表面積も重要なファクターです。

BELCAT IIは、触媒および吸着剤分析、さらにその他の様々な測定にも応用できるように、必要な機能を1台に集約し、幅広い用途と柔軟なカスタマイズ性で、多様な研究開発ニーズに対応しています。

1台で様々な測定を可能にする全自動触媒分析装置 選ばれる理由-BELCAT II

BELCAT IIの特長をご紹介します。触媒分析に必要な機能を一台に集約し、幅広い研究開発ニーズに柔軟に対応します。


8つのガスポート、ガス混合機能により効率の高い触媒評価

従来機では測定ごとに専用の混合ガスボンベが必要でした。BELCAT IIでは8つのガスポートを自由に利用し、標準搭載のガス混合機能を用いて、任意の混合ガスを調整可能です。

特殊な混合ガスボンベや頻繁なガスの繋ぎ変えを行うことなく、ソフトウェア上でガス混合を制御し、試料の前処理から、様々な測定、校正まで自由にアレンジ可能です。この機能により、幅広い触媒評価を効率的に実施できます。

BELCAT II 従来製品
前処理・パルスガスライン 1. He, 2. N2, 3. Ar, 4. H2 5 ライン:1. He, 2. N2, 3. O2 / He, 4. H2 / Ar, 5. CO / He
MIXガスライン 5. CO, 6. O2, 7. N2O, 8. NH3 5 ライン:1. H2, 2. CO, 3. NH3 / He, 4. O2, 5. N2O
キャリアガスライン 1. He, 2. N2, 3. Ar 3 ライン:1. He, 2. N2, 3. Ar
合計 計 8ラインで対応.ガス混合機能も利用可能 計13ライン必要

優れた温度制御

BELCAT II専用の電気炉を用いて、前処理から測定までサンプル温度を正確に制御します。専用の冷却ファンにより、400°Cから50°Cまで30分での急速冷却を実現し、測定時間の大幅短縮が可能になりました。

さらにオプションの低温電気炉(CATCRYO II)では、液体窒素から発生する低温の窒素ガスをサンプルセルに吹きかけることで、‐120°Cからの温度制御に対応します。セリア担体の金属分散度測定や、室温以下からの昇温還元測定(TPR)にご使用いただけます。

本オプションにより冷却性能がさらに向上し、800°Cから30°Cまでをわずか10分で冷却可能です。

安全設計

電気炉などの加熱部を保護する前面カバーを装備し、加熱時にはロック機構が作動します。

すべての加熱部には制御と別回路の過昇温防止機能を備えており、設定値を超えた場合はアラームとともにガス供給と加熱を停止します。

圧力や流量警報、ガス検知器*の接続によるインターロックにも対応しており、安心してご使用いただけます。 *ガス検出器はお客様にてご用意ください。

3重試料管の採用

試料管には熱分析に実績のある3重構造の試料管を採用しました。電気炉に近い外周部であらかじめ加熱したガスをサンプル部に導入できます。

さらに、パルス測定においては外管を外すだけでサンプリングが可能となり、作業性が大幅に向上しました。

モジュール構造による高い拡張性

BELCAT IIはモジュール構造を採用しており、将来的なアップグレードや機能追加に柔軟に対応します。

蒸気導入ユニット、MIXガスユニット、低温電気炉(CATCRYO II)、破過曲線測定用CO2プローブ、オンラインガス分析計(BELMASS II)など、各種オプションの追加により、用途に応じたシステム拡張が可能です。

ソフトウェアによる多彩な測定条件設定

使いやすいソフトウェアにより、パルス、昇温スペクトル、破過曲線などの測定条件を簡単に設定できます。

また、複数の測定を連続で行うシーケンス測定にも対応しています。TCDの自動ゼロ点調整や自動多点検量などの機能も備え、高精度で信頼性の高い測定データを提供します。

オンラインガス分析計BELMASS IIなどの外部機器を接続する場合でも、BELCAT IIのソフトウェアによる測定開始・終了の制御、サンプル温度データの取り込みが可能です。

コンパクト設計

多彩な機能を盛り込みながら、装置全体のコンパクト化を実現しました。省スペース設計(W 500 × D 500 mm)により、限られたラボスペースにも無理なく設置することが可能です。

精度を追求した専用設計

配管のマニホールド化によりデッドボリュームの最小化を実現しました。ガス流量は高精度マスフローコントローラにより制御され、安定したデータの取得が可能です。

検出器には温度制御機能を備えた高感度4素子熱伝導検出器(TCD)を採用しています。基板の改良により高分解能化を実現し、より滑らかで高精度なデータが得られます。

信頼性の高いパルス吸着測定

体積校正済み計量管と高感度TCDにより、高精度なパルス吸着測定が可能です。さらに、吸着量の少ないサンプルでは、標準搭載のMIXガス機能によりパルスガス濃度を低くすることで、より正確な測定を実現します。(注意:上記の測定例は、異なるCO濃度でパルス吸着測定を行った測定結果です。パルス回数を増やすと、累積誤差により測定精度が低下する可能性があります。)

触媒分析装置 BELCAT II オプション

蒸気導入ユニット 空気恒温槽、バブリング、ヒーターと凝縮器で構成されます。凝縮器で余分な蒸気を除去することで、正確かつ安定した濃度で蒸気を供給することができます。
MIXガスユニット 3種以上のガスを混合するためのユニットです。1ユニットに最大6ラインまで搭載可能です。腐食性ガスにも対応可能です。
低温電気炉:CATCRYO II 液体窒素蒸気をふきかけることで、試料温度を-120℃から連続制御することが可能です。内部構造の最適化により冷却性能を高め、液体窒素の消費量を大幅に削減しました。セリア担体の金属分散度測定や室温以下からのTPR測定などにご使用いただけます。
オンラインガス分析計:BELMASS II BELMASS II は、BELCAT II に接続できるシステム化された四重極型質量分析計(Q-mass)です。BELCAT II のソフトウェアと連動させることで、熱伝導度検出器(TCD)では分離できない複数成分のガスを定量的に測定できます。そのため、高い精度が求められる触媒反応の分析などにもご利用いただけます。
AIRGUARD 測定システム 一部の機能性材料(触媒、吸着材、電池材料など)は、空気中の水分や酸素と反応して構造が変化したり、腐食性ガスを発生したりする場合があります。AIRGUARD測定システムを用いることで、測定試料を大気に晒すことなく、安全に評価することが可能です。
CO2/H2O分離性能評価(破過曲線) 本システムは、直接空気回収 (DAC: Direct Air Capture)、CO₂回収・利用・貯蔵 (CCUS: Carbon Capture, Utilization and Storage)、CO₂回収・貯蔵 (CCS: Carbon Capture and Storage) の用途において、CO₂やH₂Oを含む複数のガス成分を対象とした破過曲線測定を可能にします。専用の高精度なCO₂プローブと湿度計を搭載し、CO₂およびH₂Oの吸着・脱離挙動を高い再現性で評価できます。

詳細はお問い合わせください。

触媒分析装置 BELCAT II ソフトウェア

本ソフトウェアは、使いやすさを重視し、労働生産性の向上に寄与する機能を搭載した次世代分析プラットフォームです。複雑な測定時にも直感的に操作でき、誰でも高精度かつ再現性の高いデータを迅速に取得できます。測定結果は各種理論に基づき解析され、報告書作成に適したEXCEL形式で保存できます。

  • 簡単操作
  • 自動ゼロ点調整
  • マニュアル測定モード
  • 自動多点検量測定による測定結果の高い信頼性
  • オンラインガス分析計 BELMASS II 連動ソフトウェア(オプション)
  • 解析ソフトChemMaster II(昇温スペクトル解析・波形分解・パルス吸着解析)

BELCAT II 測定画面
特殊測定モードを用いた測定結果(イメージ図)
波形分解画面(TPD測定、TPR測定)
BELMASS II 測定画面

触媒分析装置 BELCAT II ソフトウェア仕様


簡単操作で測定可能 測定項目ごとに専用のタブ(TPR, TPD, TPO, BET) を備え、簡単な条件を入力するだけで全自動測定が可能です。測定中は装置の動作状況、TCDチャートや温度などがリアルタイムで表示され、測定状況を一目で確認できます。
自動ゼロ点調整が可能 測定前にTCD(熱伝導度検出器)のゼロ点を自動で調整します。常に同じベースラインで測定できるため、データ比較が容易です。また、異なるキャリアガスを用いた連続測定も安定して行うことができます。
特殊測定モード(シーケンス測定モード) バルブの開閉動作、ガス流量制御、サンプル温度の設定など、各種パラメータをプログラム上で任意に制御できます。ユーザーが独自に作成した測定シーケンスを適用することで、所望の測定条件に基づく実験を柔軟に実行することが可能です。これにより、複雑な触媒反応の実験にも対応できます。
自動多点検量測定による測定結果の高い信頼性 TPDやTPR測定の後、信頼性の高い多点検量測定ならびに計算を自動で行います。面倒な手計算が不要となります。
解析ソフトウェア ChemMaster II TPD測定、TPR測定等で得られたスペクトルからピーク面積を計算します。レイヤー重ね書き機能を備え、スペクトル比較も容易です。波形分解機能によってピーク分割も可能です。また、パルス測定結果のレポートが自動作成されます。吸着量や金属分散度などの複雑な計算を行う必要はありません。担持量や化学量論比計算も可能です。

触媒分析装置 BELCAT II 代表的な用途


触媒

  • 電池材料
  • CCUS
  • カーボン
  • ゼオライト

電池材料

  • セメント
  • セラミックス
  • 燃料電池
  • ガス分離

セメント

  • MOF / PCP
  • 石油化学

 

その他

触媒分析装置 BELCAT II 測定例

MFIゼオライトのNH3-TPD測定結果

脱離量 (High ピーク):0.835 mmol/g、ピーク温度:440 °C

MFIゼオライトのNH3-TPD測定結果

横軸を時間から温度に簡単に変更可能

COパルスによるPt/Al2O3の金属分散度測定

単位吸着量: 0.527 cm³/g、金属分散度: 22.7%、金属表面積:1.13 m²/g, 金属粒子径:4.99 nm
自動ベースライン補正とパルス吸着測定結果の積分計算により簡単に評価可能

CO2 吸着破過曲線評価 (単成分)

CO2吸着量: 3.18 mmol/g
ブランク測定 (黒), 吸着剤充填時の出口ガス濃度=CO2吸着破過曲線 (赤) 、CO2吸着量変化(青)
CO2やH2Oブローブ(オプション)により2成分(CO2/H2O)破過曲線評価が可能 

触媒分析装置 BELCAT II 触媒評価の基礎


パルス測定

パルス測定は、試料に一定量のガスを繰り返し導入し、飽和前後のピーク面積差から吸着量を求める測定手法です。

COやH₂など担持金属表面に選択的に化学吸着するガスを用いることで、その吸着量から金属分散度(全金属原子に対する表面露出金属原子の割合)、金属表面積や平均粒子径の算出が可能です。

さらに、O₂パルスによる酸素吸蔵能(OSC)測定や、N₂Oを用いたCu担持触媒の金属分散度評価など、さまざまな応用に対応します。

昇温脱離測定 (TPD: Temperature-Programmed Desorption Measurement)

昇温過程における固体表面からのガス脱離挙動を測定する手法で、一般に縦軸に脱離ガス濃度、横軸に温度をとったスペクトルとして表されます。

試料温度を連続的に上昇させながら脱離したガスを検出することで、脱離量から酸点・塩基点の数を、脱離温度から脱離の活性化エネルギーを得ることができます。

  • 脱離ピークの数:吸着点の種類
  • 脱離温度:脱離の活性化エネルギー
  • 脱離量:吸着点の量
固体酸触媒の酸性質評価としてNH3-TPD、固体塩基触媒の塩基性評価としてCO2-TPDが広く用いられています。

昇温スペクトル測定

固体表面の反応特性を調べるための方法として知られ、縦軸を反応物の消費量または生成量、横軸を温度としてスペクトルで表されます。触媒反応の温度特性が連続的に測定でき、段階的な反応の場合、それぞれの反応を個別に観察することができます。

  • 昇温スペクトル測定の個別手法
    • 昇温還元測定 (TPR:Temperature Programmed Reduction): 金属酸化物などを水素流通下で、一定速度で昇温させ、還元スペクトルを取得することで、還元特性(還元温度や還元量を)を評価する手法です。セリアの酸素放出、NOxの還元評価にも利用可能です。
    • 昇温酸化測定 (TPO:Temperature Programmed Oxidation): 金属や貴金属触媒上のコークスなどを酸素流通下で、一定速度で昇温させ、酸化スペクトルを取得することで、酸化特性(酸化温度や酸化量を)を評価する手法です。カーボン材料の耐酸化特性評価にも利用可能です。
    • 昇温反応測定 (TPX:Temperature Programmed Reaction): 触媒反応において反応ガス流通下で、一定速度で昇温させ、反応開始温度や反応量や生成量を反応スペクトルから評価する手法です。反応機構の解明に有効です。
    • 昇温表面反応測定 (TPSR:Temperature Programmed Surface Reactions): 吸着種(反応物)を触媒表面にあらかじめ吸着させ、その後、反応ガス流通下で、一定速度で昇温させ、生成物の挙動を追跡することで、表面反応のステップや中間体の解明に有効です。

昇温還元測定 (TPR: Temperature Programmed Reduction)

昇温酸化測定 (TPO: Temperature Programmed Oxidation)

吸着破過測定

吸着ガスを試料へ流通させ、試料下流の検出器で吸着ガスの濃度を測定する手法です。

  • 吸着初期にはガスが試料に吸着するため、下流側のガス濃度はほぼゼロとなります。
  • 試料の吸着量が飽和に近づくにつれ、下流側のガス濃度が徐々に高くなります。
  • 飽和に達すると吸着ガス濃度は試料上流と同等のガス濃度になります。
この濃度変化(破過曲線)から吸着量の評価が可能です。複数成分系では、ガス間の競争吸着挙動の評価も可能です。
  • 破過点(5%濃度): 導入濃度に対して試料下流側の濃度が5%に達した点を破過点と定義します。試料が飽和し始め、吸着能力が低下していることを示します。
  • 終末点(95%濃度): 導入濃度に対して試料下流側の濃度が95%に達した点を終末点と定義します。試料がほぼ飽和状態にあることを示します。

ガス流通法によるBET比表面積評価

BET比表面積とは、固体の単位質量あたりの表面積です。固体触媒では、表面積が大きいほど反応物と触媒が接触できる有効表面が増えるため、触媒活性に強く影響します。

ガス流通法による測定では、マノメトリック法(定容量法)とは異なり、ヘリウムで希釈した窒素ガスの流通下で、試料を液体窒素温度まで冷却し、窒素ガスを試料表面に吸着させます。その後、試料を室温に戻して窒素が脱着する量を熱伝導度検出器(TCD)で測定します。得られたデータから、一般的には BET 1点法 を使って比表面積を計算します。

この方法は固体触媒の評価だけでなく、吸着材をはじめ、あらゆる粉体材料の表面特性を調べるうえで不可欠な測定手法です。

触媒分析装置 BELCAT II 製品仕様

測定原理 ガス流通式(常圧)
検出器 半拡散型4素子熱伝導度検出器 (TCD)
測定/ 前処理ポート 1
導入可能ガス He, Ar, N2, O2, H2, CO, CO2, NH3, N2O, NO 等
ガス接続ポート数 8
ガス接続ポート:キャリアガス 3
ガス接続ポート:Mix 8 (耐食仕様 2)
ガス接続ポート:前処理/ パルス 8 (耐食仕様 2)
マスフローコントローラ: キャリアガス F.S. 100 sccm
マスフローコントローラ:Mix F.S. 30 sccm
マスフローコントローラ:前処理/ パルス F.S. 100 sccm
測定用電気炉 測定温度:
~ 1.100 °C (電気炉)
-120 °C ~(低温電気炉:CATCRYO II)
昇温速度:
110 °C/min (50~500 °C)
80 °C/min (50~1000°C)
急速冷却時間:
30 分 (400→50 °C, ファン利用時)
10 分 (800→30 °C, CATCRYO II利用時:)
蒸気導入(オプション) H2O, CH3OH, C2H5OH, トルエン, ベンゼン 等
寸法、重量 500 (W) x 750 (H) x 500 (D) mm, 80 kg
ユーティリティ:ガス 測定ガス: 0.1 MPa (ゲージ圧)
圧縮空気: 0.45 to 0.55M Pa (ゲージ圧)
1/8” Swagelok接続
ユーティリティ:電源 単相 AC110/220V
CEマーキング はい
蒸気導入(オプション):温度範囲 バブリングボトル容量:100cc(パイレックス製)/空気恒温槽:~ 150°C、バブラー:~ 100°C、凝縮器:3 ~ 100°C
CATCryo II(オプション):温度制御 LN2 気化ガス + 電気炉
CATCryo II(オプション):温度範囲 -120 ~ 1100°C
CATCryo II(オプション):LN2 タンク容量 10 L
MIXガスユニット(オプション):ガスポート 1 ~ 6 (1~3: CEマーキング適合, 4~6: CEマーキング未取得)
1/8-inch Swagelok 接続
MIXガスユニット(オプション):マスフローコントローラ F.S.: 30sccm (0.6 ~ 30sccm(N2)校正) 耐食性有

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